こんにちは、社長のためのAI戦略です。自社のセキュリティ対策、専門人材の不足に悩んでいませんか。今回はOpenAIが公開した、サイバーセキュリティ企業SentinelOneの活用事例を取り上げます。AIが人間レベルのマルウェア解析の成果を約8時間で出せるようになったという発表内容から、経営者が押さえるべきポイントを解説します。
30秒で分かるポイント
- トップクラスの研究者で4〜6週間かかる高度なマルウェアのリバースエンジニアリングを、OpenAI Daybreakは人間レベルの成果で約8時間で出せるようになったと、SentinelOneのAI責任者が説明
- 説明責任は自動化できず、人間に残るという考え方が示されている
- SentinelOne社内で、専門知識が少数の担当者に偏っていた状態から、より多くの社員が対応できる体制への変化が述べられている
- 開発段階からセキュリティ対応力を組み込む方向性も示されている
1何が発表されたか
以下はOpenAIが公開した情報に基づきます。OpenAIは、サイバーセキュリティ企業SentinelOneがサイバー防御の担当者向けにOpenAIのモデルを提供する「Daybreak」を活用し、マルウェアのリバースエンジニアリング(ソフトウェアを分解して挙動を解析する作業)にかかる時間を大きく短縮した事例を公開しました。
SentinelOneの最高AI責任者Gregor Stewart氏は、高度なマルウェアの解析はトップクラスの研究者でも4〜6週間かかる地道な作業だと説明したうえで、「OpenAI Daybreakは今、人間レベルの成果を約8時間で生み出せるようになっている」と述べています。
2より多くのマルウェアを調査できる体制へ
Daybreakは、防御側の担当者がサイバーセキュリティ業務でOpenAIのモデルを活用できるようにするものです。SentinelOneはこれを使い、マルウェアがどのように動作するかを解析するリバースエンジニアリング業務を行っています。解析の高速化によって、研究者はより多くの検体を調査する余裕を得たとしています。
Stewart氏は、これを「これまで(コスト面で)持つことができなかった種類のインテリジェンス」を得る機会だと表現しています。
3人間の役割は「説明責任」に残る
Stewart氏は、AI活用が進んでも自分のチームが成果に責任を持ち続けると強調しています。「自動化できないのは説明責任だけだ」と述べ、アーキテクチャの変更のような判断は引き続き人間の目で確認すべきだとしています。一方で、ソフトウェアの根本的な動作を変えない部分的な修正などは、自動化に向いている可能性があるとも述べています。
この整理は、AI活用を検討する経営者にとって参考になります。すべてを自動化するのではなく、どの業務を人間が最終確認し、どこから自動化してよいかの線引きが重要だという考え方です。
4脅威同士のつながりが見えるようになる
これまでSentinelOneの研究チームは、発見した脅威のうちごく一部のソフトウェアしか深く調査できなかったと、Stewart氏は振り返っています。調査できる検体数が限られていたため、脅威同士のつながりを見つける機会も少なかったといいます。
Daybreakによる解析の高速化で、研究者はより多くのマルウェア検体を比較し、共通する構成要素を探す機会を得ました。例えば、一見無関係に見える2つの検体に共通する要素が見つかれば、顧客に関する調査を進める手がかりになるとしています。こうした関係性が見えることで、「より先回りした、能動的な防御が可能になる」とStewart氏は述べています。
5経営者が知るべきこと
この事例は、セキュリティ分野における人材・専門知識の不足という経営課題に対し、AIがどのような形で貢献しうるかを示しています。Stewart氏は、「数ヶ月前までごく限られた人しか持っていなかったような専門知識に、ほぼ全員がアクセスできるようになっている」と述べており、少数の専門家に依存していた体制から、より多くの社員が自らセキュリティ対応にあたれる体制への変化に触れています。
さらにStewart氏は、OpenAIのサイバー能力をコード作成の段階にも組み込みたいと述べ、「開発チームの全員に専門家レベルのサイバー能力を提供することで、OpenAIは優位性を防御側に移している」としています。
なお、本発表は特定企業(SentinelOne)による活用事例であり、成果の数値は同社が公表している内容です。自社に同様の効果が得られるかは、業務内容や導入体制によって異なります。最新の提供条件や機能仕様は、OpenAIの公式ページで確認することをおすすめします。
6自社に当てはめる3つの質問
- 自社のセキュリティ対応は、特定の専門担当者に知識や業務が偏っていないか
- AIに任せてよい定型的な分析業務と、人間が最終確認すべき重大な判断の線引きはどこにあるか
- 開発・製品づくりの初期段階からセキュリティ対応を組み込む体制を、自社は持てているか
💡まとめ
- OpenAIは、SentinelOneのAI責任者が「Daybreakは人間レベルのマルウェア解析の成果を約8時間で出せる」と説明した事例を公開した
- 説明責任は自動化できず、人間に残るという考え方が示されている
- 専門知識の偏りを解消し、より多くの社員が対応できる体制への変化が述べられている
- 開発段階からセキュリティ対応力を組み込む方向性も示唆されている
- 成果はSentinelOneが公表した内容であり、自社への効果は導入体制により異なる
## 出典
- [SentinelOne cuts malware analysis from weeks to hours(OpenAI・2026-10-14)](https://openai.com/index/sentinelone)